不動産の共有名義とは

【更新日】 2025年6月3日(火) 相続 不動産
不動産の共有名義とは?
共有名義とは、一つの不動産に対して複数人を所有者として登記を行うことをいいます。
主に複数の相続人で相続するケースや、複数人で出資して不動産を購入するときに共有名義となることがあります。 なぜ共有名義が発生するのか? 不動産が共有名義になる主な理由は以下の通りです。
  1. 相続: 親が亡くなった際に、複数の相続人が共同で不動産を受け継ぐケース。
  2. 夫婦や親子での購入: 住宅ローンを共同で組む際、夫婦や親子で共有名義にすることがある。
  3. 共同出資: 投資目的や事業目的で、複数人が資金を出し合って不動産を購入する場合。

共有名義の仕組み 共有名義での登記は、どのくらいの割合で所有するかを示す持分登記が必要です。
一つの不動産を複数人で出資して購入する場合は、基本的に出資割合に応じて持分を決定します。出資した金額と持分割合に違いがある場合は、出資額よりも少ない持分割合の人から、出資額よりも多い持分割合の人へ贈与があったとみなされ、贈与税の対象になります。

共有名義のメリット
 1. 資金負担の分散: 1人で購入するよりも負担を軽減できる。
  2. 相続時の公平性: 相続時に均等な権利を持たせることが可能。
 3. 税制上のメリット: 住宅ローン控除などの税制優遇を共有者ごとに適用できる場合がある。

共有名義のデメリット
  1. 売却の困難さ: 共有者全員の同意がないと売却ができない。
  2. 管理・維持の問題: 修繕費の負担割合や管理方法で意見が合わないことがある。
  3. トラブルの発生: 共有者間で意見が対立すると、使用や処分が難しくなる。

共有名義不動産の処分方法
 共有名義の不動産は、所有者全員の同意を得なければ売却することはできません。あるいは持分割合に応じ て1つの土地を法的に分ける分筆を行うと、自分の持分のみを売却することが可能です。 
共有名義にはメリットもありますが、長期的にはトラブルの原因になりやすいため、事前に対策を考えておくことが重要です。

事例 事例:
 住宅ローンの共有による相続問題 息子が自宅を購入する際に、住宅ローンの審査を通すために父の所得と合算して申請し、結果として父と息子がそれぞれ50%ずつの持分で共有名義として登記されました。その後、父が亡くなり、相続人が母親と兄弟2人(息子とその兄)であった場合、父の50%の持分は相続財産となります。 父の持分は法定相続分に従い、 • 母: 1/2(25%) • 息子: 1/4(12.5%) • 兄: 1/4(12.5%) この結果、息子が住んでいる家の登記名義には、新たに兄の名前が入ることになり、兄もその不動産の共有者となってしまいます。このような状況になると、兄が持分を主張し、売却や利用方法に意見の相違が生じる可能性があります。 共有名義のトラブル回避策 • 事前対策: 住宅ローンを組む際に、父を連帯保証人にするが持分は持たせない方法を検討する。 • 相続対策: 遺言書を作成し、父の持分を息子が単独で相続できるようにする。 • 持分整理: 相続後に、兄の持分を息子が買い取る形で単独名義にする。 共有名義にはこのようなリスクがあるため、将来的なトラブルを避けるためにも事前の対策が重要です。