実家を相続する前に知っておきたいこと
【更新日】
2025年9月24日(水)
相続
不動産
相続税申告・納付の流れと注意点|実家を相続する前に知っておきたいこと
相続は、誰にとっても身近な出来事です。しかし、いざ直面すると、何から手をつけて良いか分からず戸惑ってしまうことも多いのではないでしょうか。特に、実家などの不動産を相続する場合、財産の額によっては相続税の申告と納付が必要になるため、注意が必要です。
今回は、相続税申告の対象となるケースから、申告・納付の流れ、そして知っておきたいポイントまでを分かりやすく解説します。
1. まずは確認!相続税申告が必要なケース
相続税は、すべての相続に課せられるわけではありません。相続財産の総額が、法律で定められた「基礎控除額」を超える場合に、申告と納税の義務が発生します。
<基礎控除額の計算式> 3,000万円+600万円×法定相続人の数
(例) 相続人が配偶者と子供2人の合計3人の場合 3,000万円+600万円×3人=4,800万円
この場合、相続財産の総額が4,800万円を超えなければ、相続税はかからず、申告も不要です。
<相続財産に含まれるもの> 不動産、預貯金、株式、保険金、貴金属、骨董品、自動車など、金銭的価値のあるすべての財産を合算して計算します。
2. 相続税申告・納付の期限は?
相続税には、申告と納付の期限が定められています。
【期限】 相続開始を知った日(被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内
この10か月という期間内に、以下の2つを完了させる必要があります。
● 税務署へ申告書を提出する
● 計算された相続税を現金で納付する
10か月と聞くと長く感じるかもしれませんが、財産評価や必要書類の収集には意外と時間がかかります。期限を過ぎてしまうと、延滞税や加算税といったペナルティが課せられることがあるため、早めの準備が肝心です。
3. 相続税申告・納付の流れをチェック!
相続税の申告・納付は、主に以下の4つのステップで進めます。
1. 財産評価 不動産(路線価評価など)、預金残高、株式、保険金など、すべての 財産を評価して合計額を算出します。
2. 相続税額の計算 評価した財産額を基に、各相続人が取得する財産に応じた 相続税額を計算します。
3. 申告書の作成 税務署に提出する相続税申告書を作成します。添付書類も多く、非常に専門性が高い作業です。
4. 申告・納付 相続開始から10か月以内に、管轄の税務署へ申告書を提出し、金を現金で納付します。
4. 知っておきたい!納税方法と注意点
相続税の納付は、原則として現金一括払いです。しかし、手元に現金がない場合など、納税が難しい場合には以下の制度を利用できる可能性があります。
- 延納:相続税を分割で支払う方法です。ただし、担保の提供や利子税の支払いが必要です。
- 物納:延納でも納税が難しい場合に、不動産や有価証券などの現物で納税する方法です。
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また、相続税申告で最も重要なのは、「不動産の評価」です。
- 小規模宅地等の特例:居住用の土地や事業用の土地を相続する場合、一定の要件を満たすことで、評価額を最大80%減額できる特例です。この特例を適用できるかどうかで、納税額が大きく変わることがあります。
不動産の評価は複雑で、特例の適用要件も細かく定められています。税額を正確に計算し、適切な申告を行うためには専門的な知識が不可欠です。
相続税申告は「期限厳守」、そして「早めの相談」がカギ
相続税申告は、相続開始から10か月という短い期間の中で、専門的な知識をもって手続きを進めなければなりません。特に不動産を含む場合は、その評価方法や分割方法によって納税額が大きく変わる可能性があるため、早めに税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
この記事が、相続税について考えるきっかけになれば幸いです。
