第二会社方式で会社・雇用を守る基本手順|過剰負債を切り離して事業を再生する方法

【更新日】 2026年8月19日(水) 私的整理 M&A・事業承継
第二会社方式で会社・雇用を守る基本手順|過剰負債を切り離して事業を再生する方法
「過去の借入やゼロゼロ融資の返済が重く、資金繰りがもたない」 「会社全体は赤字だが、特定のコア事業にはファンや技術、黒字の強みがある」
過剰な債務によって会社全体が倒産危機に瀕している場合、すべての事業を諦めて破産する必要はありません。収益力のあるコア事業を切り離し、別会社(第二会社)で存続させる手法が「第二会社方式(再生型M&A・事業譲渡)」です。
中小企業再生ガイドライン等に基づき、第二会社方式を活用して事業と雇用を安全に守るための基本手順を解説します。

1. 第二会社方式の仕組みとは?
第二会社方式とは、「過剰負債を抱えた旧会社(処理対象会社)」から、利益を生み出せる「優良事業・雇用・取引先」のみを「新会社(第二会社)」へ事業譲渡によって移転させる再生手法です。
•    新会社へ移すもの:黒字のコア事業、従業員の雇用、主要取引先、製造設備や技術、商権
•    旧会社に残すもの:返済不能となった金融機関からの借入金、過去の不良資産、税金・社保の滞納残債
事業と雇用を新会社で継続させた後、残された旧会社は弁護士を通じて特別清算や自己破産などの法的手続きを行い、適法に整理します。なお、私的整理、第2会社方式等の処理のできる弁護士は限られています。

弁護士選ぶのポイントは、”第二会社方式を成功させるカギは「弁護士選び」にある”をご覧ください。

2. 第二会社方式を進める基本の5ステップ
第二会社方式は、以下の手順に沿って適法かつ計画的に進めます。
ステップ1:事業の棚卸しと適正譲渡価格の算定(資産評定)
 ・どの事業を新会社へ引き継ぎ、どの負債を旧会社に残すかを切り分けます。
 ・公認会計士や税理士などの専門家が、引き継ぐ資産・事業の「適正な譲渡対価(時価)」を算出します   
  (※不当な安値での移転は詐害行為となるため厳禁です)。
ステップ2:新会社(受け皿会社・第二会社)の設立・選定
 ・ 事業を引き継ぐ新会社を用意します。信頼できる親族や右腕となる役員が設立するパターン(身内
  承継)と、外部の提携企業に買い取ってもらうパターン(第三者スポンサー型M&A)があります。
ステップ3:再生計画案の作成とバンクミーティング(全行同意)
 ・金融機関向けに「事業再生計画書」を作成し、バンクミーティングを開催します。
 ・ 新会社から旧会社へ支払われる譲渡代金を、各銀行への返済原資(弁済原資)に充てる計画を提示し、
  すべての取引金融機関から同意を取り付けます。
ステップ4:事業譲渡契約の締結・商権および雇用の移行
 ・ 旧会社と新会社の間で事業譲渡契約を正式に締結します。
 ・ 従業員の転籍同意を取り、主要な取引先との契約を新会社へスムーズに切り替えます。
ステップ5:新会社での再スタートと旧会社の法的整理
 ・新会社は過剰債務のない身軽な状態で営業を継続します。
 ・ 抜け殻となった旧会社は、提携弁護士の主導のもと、特別清算または自己破産手続きを行い、完全に
  負債を整理します。

3. 第二会社方式を成功させるための注意点
「詐害行為」とみなされない適法プロセスの徹底
 ・ 銀行への相談なしに勝手に資産を親族会社へ移すと、後から「借金隠し・財産隠し(詐害行為)」として
  訴えられ、事業移転が無効化されます。必ず国のガイドラインや第三者専門家の適正鑑定を経て進める
  必要があります。
手元のキャッシュ(運転資金)があるうちに動くこと
 ・ 新会社を設立し、事業譲渡が完了するまでの間、旧会社で給与や仕入れを支払い続けるための「手元
  資金」が必要です。口座が差し押さえられてからでは、このスキームを実行できません。

最後に事業と雇用を守る決断を
第二会社方式は、真面目に事業を継続してきた経営者が、過剰負債の足かせを外して再起するための合法的な救済手続きです。
「自社の事業で第二会社方式が使えるか知りたい」「銀行との交渉に不安がある」という方は、手元資金が枯渇する前の段階でお早めにご相談ください。


【この記事の執筆・監修】
北野 明信 | 事業再生アドバイザー / M&Aアドバイザー
大阪・兵庫・奈良など関西圏を中心に、地場製造業・老舗企業の事業再生(第二会社方式)やM&Aを支援。弁護士・税理士と連携し、経営者の生活と雇用を守る「適法な私的整理」を専門としています。

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